岡山・総社市の『英語特区』から見える子供英会話の未来
岡山県総社市で『英語特区』スタート
岡山県の総社(そうじゃ)市では、今年の4月から市内の幼稚園2園・小学校2校・中学校1校が連携し、一貫性をもって子供英語教育を行う「英語特区」をスタートさせました。岡山県総社市は過疎地でクラスの人数は少人数ですが、自治体を越えた通学も歓迎しており、文部科学省でも珍しい取り組みとして注目を集めています。
総社市の英語特区スタートの背景には、岡山県総社市の過疎化の進みがあります。
英語特区を実施しているのは、総社市の中でも北部の一部地域です。総社市全体の人口で見ればほぼ横ばい状態ですが、英語特区実施の北部では2005年以降で約1割の人口が減少しています。英語特区実施の裏には“「英語」を売りにして子供を増やしたい”という狙いもあるようです。
総社市の『イマージョン教育』とは
岡山県総社市が取り組む英語特区の子供英会話教育法でカギになるのが「イマージョン教育」です。イマージョン教育とは、簡単に言えば“英語に浸りきった環境で英語の修得を目指す”教育方法です。子供英会話の授業内でのみ子供英会話を習うのではなく、他の教科や学校生活内にも英語を取り入れていきます。
岡山県総社市の英語特区に指定された幼稚園では、教室名の表記に英語を使ったり、絵本コーナーには英語の絵本が多く用意されていたりします。
このイマージョン教育は1960年代にカナダで始まったのをきっかけに、現在では世界各地の学校で導入されている教育方法です。
どんどん見直しが進む子供英会話教育
岡山県総社市で取り組み始めたイマージョン教育という教育方法は、本来他言語で教養を積むための長期教育計画であり、アメリカでは幼稚園から開始されます。
総社市もそれに習った形となり、今回幼稚園から中学校卒業まで一貫した教育方法としてイマージョン教育を取り入れました。それに伴い、2013年度時点では年間5~6日間しか訪問のなかった外国語指導助手が、2014年では週2~3日、終日一緒に過ごすよう変更されています。また小学3、4年生においても、年間20時間だった「外国語活動」の時間を、年間35時間の「英語」教科として新設しました。
この総社市の取り組みを見てわかるように、今までの日本の子供英会話の教育方法が見直されつつあり、それに加えて取り組み時間も見直されてきているのです。
『使える英語』を目指して
児童生徒が英語漬けの環境に身を置くイマージョン教育は、「聴く力」と「話す力」を重視したもので、実際に「使える英語」を身につける事を目指しています。
総社市が目標とするのは、「国際的な視野を持ち、外国人ともしっかりコミュニケーションの取れる人材の育成」としています。そのため、オーストラリアの小中学校との交流事業の展開など、実際に外国の人と英語でコミュニケーションをとる機会を子供のうちから設けています。
グローバル化の進む日本で必要とされているのはこの「使える英語」です。実践で使える英語を身につけるためには、今までの受動的な子供英会話教育ではなく、子供のうちから生活の中に英語をおき、コミュニケーションを重ねる事で育まれるものではないでしょうか。