英語を母国語のように覚えられる「TPR」って?
現在日本にあるさまざまな英語教室でTPRを使った英語の授業が実践されているのをご存じですか?
TPRは英語圏の国々では一般的な指導方法として、特に英語圏以外の国からやってきた子ども達に英語を教育する際に役に立つ指導法として使われています。
いったいTPRを使った英語の授業とはどのようなものなのでしょうか?
■TPRってどんな指導法?
TPR(正式名称「Total Physical Response」)は1960年代にアメリカの心理学者であるジェームス・アッシャーによって提唱された指導法です。
日本語では「全身反応教授法」などと訳されており、英語教室ではその名前の通り「生徒に指導者の指示を英語で聞かせて、それに動作(もしくは言葉)で反応してもらう」という方法で取り入れられています。
つまり指導者は子ども達に立ってほしい時には英語で「Stand up.」と言い、歩いてほしい時には英語で「Walk around.」と、日本語を使わずに指示するのです。
このように英語の意味を日本語に訳してから体を動かすのではなく、英語に直接動作で反応してもらうために行うのがTPRの指導法なのです。
■日本語をどのように覚えたか?
私たちは子どもの頃に日本語を覚える際に、どのような覚え方をしたでしょうか。
何か特別な努力をしたわけではなく、いつの間にか日本語を話せるようになっていましたよね?
それは毎日の生活の中でたくさんの日本語を耳に入れ、たくさんの日本語を頭の中にインプットしてきたからなのです。
それと同じように長期間に渡ってたくさんの英語を聞かせることで、子ども達の頭の中には英語独特の音やリズムが自然と蓄積され、それによって子ども達は英語をまるで母国語のような感覚で理解してくことができるのです。
■TPRのメリット
その他TPRのメリットとしては以下のような点が挙げられます。
・年齢に関係なく有効な方法
TPRは、子どもはもちろんのこと、あらゆる年齢、性別、職業、英語レベルの人に対して行うことができる指導法となっています。
・楽しく英語を学べる
TPRはゲーム感覚で英語に触れられる指導法であることから、生徒はストレスをほとんど感じることなく楽しく学習することができます。
またストレスが少ないことから途中で脱落する生徒も少ないため、指導者は長期に渡って同じ指導法を続けることができます。
・正しい順序で英語を覚えることができる
実は人間が母国語を覚える時には国や民族を問わず「聞く⇒話す⇒読む⇒書く⇒文法を覚える」という順序を踏んでいるといわれています。
しかし学校で受ける英語の授業はこの中の「読む」以降のプロセスを中心に行っているため、なかなか英語を母国語のような感覚で覚えることができません。
それに対しTPRは、このプロセスの中で最初に覚えるべき「聞く」と「話す」を担当しています。
学校の授業で英語が始まるまでにたくさんの英語をTPRの授業で聞き、英単語を話しておくことで、その後のプロセスも自然に踏めるようになるため、TPRを受けていない子どもに比べて英語が自然と身についていくことでしょう。