小学校3年生から英語を始めるメリット
小学校の英語必修化がはじまり数年がたちました。そして2020年には小学校3年生から英語の授業が始まります。
今までは両親が子供を英会話スクールなどに通わせなければ、早期英語教育はできませんでした。それが、公立の学校でも開始されることによって、学校に通う子供たちに平等に早期英語教育のチャンスを与えることが可能になるのです。
しかし、なぜ「3年生」なのでしょう。今回はこの小学校の英語教育が「3年生」になった理由に着目したいと思います。
3年生は「臨界期」の真っ最中
子供たちの脳はスポンジのように、あらゆる情報をキャチして,アウトプットが可能になります。特に小学校3年生の子供は「臨界期」の真っただ中で、学習に非常に向いた時期を迎えていると言えます。
「臨界期」とは言語習得が最も効果的な時期の限界のことを指します。年齢については諸説あり、8~9歳までという説と12~13歳までという説が有力です。
小学校の英語の授業を3年生からと引き上げたのは、この臨界期8~9歳説に対応したのであろうことが窺えます。
臨界期と言語学習の関係
人間を含めた動物は、臨界期までに学んだことを利用して生きていくと言われています。もちろん、臨界期を過ぎた後でも学習は可能です。しかしこの頃に学びそこなったことは後年に学習し身に着けても、臨界期までに学習し身につけた人々の段階に達しないと言われているのです。
例えば小鳥を使い行われた実験では、生後間もなく親鳥から隔離された小鳥は、そうでない小鳥と比べてさえずり方を身につけなかったという報告があります。これは小鳥が臨界期までに、親鳥からさえずり方を学べなかったからと考察されています。
そして人間でも、幼いころに親からの虐待を受けて地下室に隔離されていた子供が、臨界期中に言語をちゃんと学ぶことができず、親元から保護され成長した後も言語障害が完治しなかったという報告も出ています。
これらのことから、臨界期を迎える小学生までに言語の学習をすることは、その言語の定着に大変重要だということが分かっているのです。
小学校から英語を勉強するメリット
言語の学習にも大きく関係する臨界期ですが、これを迎える小学生までに英語学習を始めることには以下のようなメリットがあります。
・発音の聞き分けが可能になる
「L」と「R」、「B」と「V」といった、特定のアルファベットは日本語の音では判別が困難です。よって、音を聞いて正しいスペルを書く際、臨界期までに英語学習を始めた子とそうでない子との間には、一定の差ができる傾向があります。
・ネイティブの発音を身に着けられる
幼いころに英語圏に住んでいた、幼いころから英語を話す環境で育った、という子供たちの発音はネイティブのそれと遜色ありません。これにも臨界期が関係していると言われています。小学生中に英語学習を始めれば、ネイティブ並みの発音が身につく可能性が高まるのです。
・勉強時間の確保
今までの日本の英語教育は、ほかのアジア圏の国と比べても、勉強時間が圧倒的に短いという特徴がありました。いかなる勉強にも言えることですが、勉強時間をしっかり確保することが能力の向上に繋がるのは基本的なことです。単純に、小学校5年生から英語学習を始めた子よりも、3年生から始めた子の方が英語力は定着しやすいと言えます。
以上のように、小学校3年生から英語を学び始めることには、いくつものメリットがあるのです。